この間水星にいったとき
きれいな水竜がいたんだ
ところで僕は
きれいとか、うつくしいとか
わかいいとか
もうそうした言葉自体が
大好きなんだけど
言葉からして
奇麗は奇麗だし
美しいは美しいし
可愛いは可愛い
だから現実に
そんなものがあらわれると
たいへん参ってしまうわけで
でも水星の水竜は
なんかかなしがってたんだ
……奥歯がいたい
みてあげたんだ
龍の口の中は
温かく湿っていた
地球からもってきた
とがり石で
少しかけたところを綺麗にけずって
あたたかい湿布をしてあげた
がりごり
……ありがとう
……ありがとう
お礼なんかいいよ、って
いったんだけど
これぐらいしか出来ないけれど
空を
とんで
みせてあげますって、いうんだ
龍のせなかは
あたたかく柔らかで
大きないきものの
においがしたよ
びゅうううん
びゅうううん
僕の耳のそばを
風が走り抜けていく
風の中を龍がはしる
風が龍のそばをはしる
ーー風って龍よりおおきいんだ
ねぇ、きみ
知っていたかい
水竜は星のまわりに
水炎をまいた
風は星のようにそれをとばしていった
これがその時の記念写真だよ
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