花の星の創作BLOG

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賢者

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ずいぶん乾いた砂地に
たくさんの
赤銅色の土でつくられた
住処がたちならんでいる

銀色の月と
あかくて熱い太陽が
私達の神様だった

あの頃は
神様も現実で
神様とともにあるのが
生活で、日常だった

……

まだ3つを数える前に
私は不思議な集団にとらえられ
地下の、奇麗な檻に
いれられた

母も、父も
檻のとなりに
部屋を与えられ
なにかをしていたから
怖くはなかった

幼馴染の男の子や
奇麗なおねえさんも
強そうな男の人たちも
近くの部屋にいたから
怖くはなかった

地下の檻は、
奇麗な白い石でできていて
狭いけれど沢山のまきものや
柔らかくて
触り心地の良い敷き布があって
住み心地はとてもよかった

ここで勉強をしなさい、と
いわれた
来る日まで

……

メロンのような
高級な果実をだされたのを
おぼえている

檻にいれられながら
なにか、待遇や
扱いがとても良かった

……

たまに太った人や
高邁なひとがきて
なにかを言い
私をみて
帰っていった

……

少し大きくなったとき
檻のそとに
幼馴染がきた

いつものように
白い柱の間から
手を出して
握手をすると

君は生け贄になるんだよ
そういった

あと三月もして
誕生日をすぎたら
神様にささげられるんだ

……

この城から
ーー宗教的なものではなくて城だった
いくつか、街や山を
越えたところに
神様とつながるとか
神様をしってるとか
そういう人が
あらわれたらしい

君を連れて行くように
いま、王様にいっているからね

よく考えれば
彼は城の総括のようなことを
していたのだろう
それで、たくさんの情報を見聞きしたり
出入りややり取りができたのだろう

……

生け贄といっても
残酷ではなかった
むしろ誉れといわれていたし
皆そう思っていた

神様のものになるのだから

……

ーーもしも
生け贄として捧げることが
あやまちなら
この国にとっても
とても、よくないからね

幼馴染はそういって

連れて行くのは無理だったけれど
外出許可はおりた
必ず聞いて
戻ってくるからね、と

すこし先にあらわれたという
賢者か、神様の使いかに
会いに旅立った

……

誕生日の数日前
彼は賢者とともにもどり
王様につたえた

神様はそのようなことは
のぞまれていない

無駄におわる、と

賢者は、柔らかさのある
優しい青年で
年寄りを思い描いていた私は
ひどくおどろいた

彼は私と幼馴染を
自分の下につくように伝えた

幼馴染は、王様も誘ったが
王様は断られた